2021/09/28 06:34

米アップルは急成長する健康関連製品のポートフォリオ拡充を視野に、うつ病や認知機能低下の診断を支援する技術の開発に取り組んでいる。事情に詳しい複数の関係者の話やウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が入手した文書で明らかになった。

 関係者によると、研究者は、移動、身体活動、睡眠パターン、文字入力の仕方などを含む一連のセンサーデータを活用し、対象となる病状に関連するデジタル信号を特定したい考え。その上で信号を確実に検出するアルゴリズムを開発することを目指している。アップルは、こうした技術が自社製品の独自機能の基礎になることを期待しているという。

 今回の取り組みは、ストレスや不安、うつ病を研究しているカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、軽度認知障害を研究している米バイオ医薬品大手バイオジェンとの提携に端を発している。アップルは提携については発表済みで、社内ではUCLAとのプロジェクトには「シーブリーズ」、バイオジェンとのプロジェクトには「Pi」のコードネームがついている。

 アップル、バイオジェン、UCLAの代表者はいずれもコメントを控えている。

 アップルがこれまで手掛けてきた健康関連機能の多くはスマートウオッチへの搭載に焦点を当てていた。関係者によると、今回のメンタルヘルスや認知機能の低下に関する研究は、より感度が高い「iPhone(アイフォーン)」のデータを活用するものであり、アップルのヘルス部門が現在は主力製品であるiPhoneの機能の開発を目指していることを示している。

 研究プロジェクトはまだ初期段階にあり、iPhoneの新機能に発展しない可能性もあると関係者らは指摘。先行する学術研究では、特定のメンタルヘルスの問題を持つ人は、そうではない人とは異なる方法でデジタル機器を使用していることが報告されている。しかし、そのような状態を検知する信頼性の高いアルゴリズムを構築できるかどうかは研究者の間でも分かっていないという。

 通常、メンタルヘルスの不調や脳疾患の適切な診断には専門医による綿密な観察が必要だが、多くの人々はそのような専門医を受診する機会がない。研究者らは、アップルと進めている研究が広く利用可能な代替手段となることを期待している。

情報ソース WSJ


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