2021/09/27 05:26

企業の採用担当者が求めているのは、「キラキラしたエピソードを持っている、すごい人」ではありません。「長く一緒に働ける、信頼できる仲間」です。人と差別化するため自分を大きく見せようとしたり、自己中心的な要望ばかり言ったりする人は、歓迎されません。好印象を与えるのは、「謙虚」で「素直」な人です。

面接では、自分を高く評価してもらいたくて、言わなくてもいいことを口にしがちです。

たとえば「うちの会社でどういうことがやりたいの?」と面接官に聞かれたとき。「なんでもやりたいです」「なんでもできます」と答えると、逆に「何もできないんだろうな」と思われることも。仮に採用されたとしても、期待したほど仕事ができないと落胆が激しくなるため、評価が一気に下がります。

×よけいなひと言 「なんでもやりたいです」

◎好かれるひと言 「留学でチャレンジ経験が鍛えられたので、どんな仕事にも尽力します」

たとえば「留学で新しいことにひるまないチャレンジ精神が鍛えられたので、どんな仕事にも尽力します」と言ったほうが、面接官も興味関心を持つでしょう。また、そう思える根拠となる「経験談」や「資格」とあわせて話しましょう。

「リーダータイプです」といった“漠然としたアピール”も、「50人いる部活のキャプテンをしていた」「生徒会長をしていた」という話とセットですると説得力が増します。

ただし、採用面接では、「先頭をいくリーダータイプ」よりも「協調性」を重んじる場合もありますので、プラスアピールになるとは限らないことも。仲間意識もあわせて伝えられるといいですね。

いずれにしても面接のポイントは、「幕の内弁当」ではなく「焼肉弁当」のように、「自分の強み」を絞ってアピールして。一点勝負で突破したほうが印象に残りやすいのです。

グループ面接でディスカッションをすると、「自分のことだけ考えている人」なのか、「人への気遣いができる人」なのかがよくわかると、採用担当者の方は口をそろえておっしゃいます。

みなさん自分の意見を主張することに意識が向きがちなので、発言できるチャンスが回ってくると、ここぞとばかりにハキハキ話します。早く自分の意見を言いたくて、「ちょっといいですか?」と割り込む人もいます。ところが、他の人が話し出すとつまらなそうにして、全然聞いていない人がいるのです。

×よけいなひと言 「ちょっといいですか?」(と他の人の話に割り込む)

◎好かれるひと言 「○○さんはいかがですか?」(と発言が少ない人に話を振る)

どんなにすばらしいことを言って自分をアピールしても、他の人に無関心で強調できない人は評価されません。採用する側は一緒に気持ちよく働いてくれる仲間を探しているからです。

たとえば、グループ面接でまだ発言していない人がいるとき、「○○さんはどう思いますか?」と話を振ることができる人。人の話を聞いているときも、「うんうん」とうなずきながら真剣に聴ける人。そういう人は好印象を与えますし、チームで仕事をしてもうまくいくでしょう。

これは面接に限らず、グループでのディスカッションやワークショップも同じです。採用担当者は特に「協調性」を重視して人を見ているのです。

先方の会社について詳しく聞きたいとき、何も知らないまま、いきなり質問することは大変失礼です。たとえば、自社が力を入れている事業を何も調べていない営業担当者に、不快感を覚えないわけがありません。

面接を受ける立場であれば、先方の会社が何に力を入れているのか、「事前に調べる」のが礼儀です。そのうえでひと言感想を伝えて、「御社の○○の事業に感銘を受けました。詳しい話を教えていただけませんか?」と質問するといいでしょう。すると相手も、「よく勉強してくれているな」と思って、気持ちよく話してくれると思います。

×よけいなひと言 「御社はどんな事業に力を入れているんでしょうか」

○好かれるひと言 「御社の○○の事業に感銘を受けました。詳しい話を教えていただけませんか?」

また、相手が話してくれたことに対しては、しっかりと“受けとめのフレーズ”を活用しましょう。「そうなんですね」という指示語を使った対応だけでなく、「○○なんですね」と内容を言葉にして受けとめたあとに、感想を伝えたり、「ここはどうですか」とさらに深められたりできるといいですね。

質問をしておいて反応が薄いと感じさせてしまうと逆効果なので、気をつけたいところです。「ところで」と一方的に話題を切り替えるのも、話を遮ったように感じさせてしまうので注意してください。
せっかく会っていただくのですから、自分のできる範囲で事前に調べる努力を欠かさずに。

苦手や不得意、短所は誰にでもあります。まずは自分のありのままを受け入れて、長所を伸ばして成長しようとする「謙虚さ」と「素直さ」を大事にしてください。「自分を受け入れる姿勢こそ、相手から受け入れられる」条件です。その本質を忘れずに、「前向きな言動」を日々心がければ、自分を仲間にしてくれた人たちと良好な人間関係を築けるでしょう。


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