2021/09/20 06:11

温暖化の影響で、2020年産の水稲で虫害が発生したと報告した都道府県が19に上り、07年の調査開始以降、最多だったことが農水省の調査で分かった。夏の高温や記録的な暖冬で、カメムシ類やトビイロウンカが多発。スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の越冬も増えた。トマトの着果不良、乳用牛の乳量・乳成分の低下といった影響もあった。幅広い品目で改めて対応が求められそうだ。

 同省は毎年、都道府県からの報告を基に「地球温暖化影響調査レポート」をまとめている。20年版によると、同年の平均気温は全国的に平年より高く、西日本から北日本の広範な地域では1度以上高かった。1991~2020年の平均値と比べた年平均気温偏差はプラス0・65度で、1898年の統計開始以降最も高かった。

暖冬と夏の高温が影響
 水稲で虫害の報告があったのは19都道府県で、前年より6増えた。カメムシ類は暖冬だと越冬する個体が増える上、夏の高温で増殖率が高まったとみる。中国大陸から6、7月に飛来するトビイロウンカは飛来後の高温で増殖率が向上。ジャンボタニシは寒さに弱いが、暖冬で越冬した個体が増えたと推定する。

 出穂期以降の高温による白未熟粒の発生報告があった都道府県は前年より3減ったが33あり、引き続き多い。一方、対策として「きぬむすめ」「こしいぶき」といった高温耐性品種の作付けも増えている。20年の全国の主食用米作付面積に占める割合は前年より1・3ポイント増えて11・2%で、10年の調査開始以降初めて1割を超えた。

 トマトでは、高温による着花・着果不良の報告が同3増の17都道府県からあった。イチゴも、高温による花芽分化の遅れの報告が同4増の15都道府県からあり、過去最多だった12年と並んだ。

 高温による乳用牛への影響については、乳量・乳成分の低下が同3増の17都道府県、受胎率など繁殖成績の低下が同3増の11都道府県から報告があった。例年7~9月の高温が原因として報告されるが、20年は5~10月の長期にわたる高温が報告された。

情報ソース 日本農業新聞


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