2021/08/28 05:56

地球温暖化は地球の自転軸(地軸)にもずれをもらしていることが、最新研究で明らかになった。

地軸が地球の表面と交差する点である地理極(北極点と南極点)は固定しておらず、地球上の質量の配分が変われば、地軸と地理極が移動することもある。科学者たちは、(温暖化による)氷河の融解が原因で大量の水が移動したことが一因で、地理極が急速に東方向にずれていると指摘する。

1980年以降、北極点と南極点の位置は約4メートル移動したと推定されている。米地球物理学連合が発行する科学雑誌「Geophysical Research Letters」が新たに掲載した査読済みの研究報告は、1990年代以降の移動については、氷河の融解がその主な原因だと指摘。それに比べて、地下水のくみ上げはさほど大きな影響はなかったとつけ加えた。報告によれば、海流などの自然因子もまた、地軸の移動に影響を及ぼした。

研究チームは、2002年から地理極の移動を追跡している重力観測衛星「GRACE(重力取得による気候実験)」のデータを独自の数学モデルで分析し、その結果を発表した。

<移動のスピードも加速>

チームを率いたのは中国科学院の地理科学・資源研究所に所属する研究者。中国政府が研究資金を提供した。

研究者たちは、1990年代半ばに地理極が南向きから東向きに移動したことを発見。また1995年~2020年にかけての地理極の移動スピードは、1981年~1995年に比べて17倍速かったと指摘した。

「氷河が融解した結果、陸水(内陸部にある河川や湖、湿地や雪氷などの総称)の貯水量の減少が加速したことが、1990年代以降の地理極の急速な移動を後押ししている主な理由だ」と報告書は指摘し、こう続けた。「この新たな所見は、地理極の移動と気候変動が過去に密接に関係していたことを示している」

研究チームは、気候変動は地理極の方向が変わった唯一の理由ではないが、観測を行った期間については、気候変動が大きな影響を及ぼしたことは確かだと述べた。

<地軸を移動させるほどの大量の水の移動>
チューリッヒ大学のビンセント・ハンフリー博士(今回の研究には関与していない)は、新たな研究所見は、人間の活動がいかに大量の水の再配分を招いたかを示していると指摘。「この質量の変化に、地軸を移動させるほどの強い力があることを物語る結果だ」と英ガーディアン紙に述べた。彼はまた、地軸のずれによって一日の長さが数ミリ秒変わる可能性があるが、日常生活に影響を及ぼすほどの変化ではないとも指摘した。

アメリカは1月にジョー・バイデン大統領が就任して以降、気候変動問題への対処を再び主な政策課題に掲げている。バイデンは4月22日に開幕した気候変動サミットで、アメリカは気候変動の問題について「行動を起こす決心だ」と述べ、こうつけ加えた。「(気候変動の)兆候が現れているのは紛れもない事実であり、科学は否定できない。そして行動を起こさないことによる代償は、どんどん大きくなっている」

情報ソース

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