2021/07/04 07:15



今年に入り、 爆発的に流行したClubhouse(クラブハウス)。一時の熱狂をよそに、アクティブに利用している人を周りでは見かけなくなってしまい、すでに「オワコン化」が進んでいるように思う。このように、SNSは新しいものが出てきては、人気が定着しないと消えていく。

たまに復活するものもあり、昨年には多くのビジネスマンがTwitter(ツイッター)を再び使い始め、仕事の傍ら運用する人が増加していた。

筆者もコロナ以前は、まともにやっているSNSはFacebook(フェイスブック)くらいだった。しかし、現在はTwitterを中心にYouTube、noteと日々運用している(Clubhouseもほんのちょっとだけやっていた)。

SNSでつながったビジネスマンもかなり多くなり、お互いにSNSの情報交換や成功事例を共有することも増えた。SNS感度が高い人には仕事ができる人が多く(マーケティング思考が強い)、メディアで話題になるよりも早く流行をキャッチできたり、有効活用するコツを教えてくれたりする。

そんな感度が高いビジネスマンの間で、にわかにブームとなり始めているSNSがある。それは「LinkedIn」(リンクトイン)だ。

筆者のLinkedInに対する率直な印象は「アカウントは持っているけど誰も使ってないSNS」だった。しかし、最近はTwitter界隈のインフルエンサー、ビジネスマンを中心に、Twitterから活動の拠点をLinkedInに移す人が増えているように感じる。

“Twitter移民”が口々に言っているのは、「Twitterに疲れた」という言葉だ。Twitterは、素性の知れない匿名アカウントであっても、ツイートがバズれば、情報の信憑性は関係なく影響力を持つことができる。とにかく「フォロワーが多ければいい」となりがちな世界だ。

正論であっても厳しい表現でツイートしてしまうと、アンチがすぐに反論してきて、そのやりとりに時間を割かれ、疲弊している人も増えていた。

フォロワー数が増えればビジネス活用ができる(採用活動、営業などで活用)と聞いてTwitterに参入していたビジネスマンにとっては、そこまで成果も出ない割に工数がかかることもあり、熱は冷めていったように思う。

そんな折、「日頃のビジネス感覚で発信できる」「実名顔出しでつながれる」SNSとして白羽の矢が立ったのがLinkedInだった。

LinkedInの特徴をまとめると、次のとおりだ。

・アメリカ発のビジネス系SNS
・ビジネスシーンに特化しているSNS
・企業向けにはリクルーティング機能もある
・eラーニング機能もあり、学習ツールとしての利用も可能
・2016年にMicrosoftが2兆9800億円で買収
・全世界で6億人以上のユーザー数を誇る
・一方、日本でのユーザー数は約200万人
・国内ユーザーの中心は外資系企業勤務の社会人、留学生
このように、世界では圧倒的に利用されているビジネス系SNSながら、日本国内ではほとんど利用されていない状況が長く続いていた。その原因としては、次のようなことがあると、筆者は考えている。

①英語表記が至るところに残っており、ローカライズが不十分(日本人は英語で説明が書かれていると内容がわからず、距離を置く傾向あり)
②外資系人材、留学生といったハイクラス層が多く、一般的なキャリアの人にとってはハードルが高かった
③他のSNSに比べて直感的に把握しづらいサイト、アプリの見た目

このようなデメリットもあり、敬遠されがちだったLinkedInだが、Twitterに疲れたビジネスマン、Facebookに物足りなさを感じるビジネスマンにとって、現状の課題を解決する存在として認知され始めている。

「LinkedIn公式クリエイター」のひとりで、LinkedIn上でHR領域を中心に多くの情報発信をしている、アースメディアの松本淳代表によると、「LinkedInはTwitterと違って『リアル』であり、Facebookと違って『パブリック』であることが特徴だ」という。

Twitterの弱点は匿名アカウントばかりで情報に信憑性がないことであり、Facebookの弱点は知り合いだけのコミュニティーのためつながりに広がりがない点だ。それらの問題点を解消する存在が、LinkedInだと松本氏は言っている。

それでは、LinkedInでは何ができるのだろうか。できることを大きく分けると、次の3つがある。

①実名、顔出しのビジネスマンとつながりを持つことができる
知り合いとつながりを持つだけでもいいが、LinkedInはTwitterと違い、実名や顔だし、経歴まで事細かに公開されているアカウントとつながることができる。自分にとって有益な情報を発信しているアカウントがあれば、フォローするだけでなく、つながることで直接連絡できるようになる。

素性がはっきりしたアカウントとつながれることを考えると、コロナ禍で交流会が減って新しいつながりを作ることが難しいビジネスマンにとっては、利用価値が非常に高いSNSではないだろうか。

②費用をほぼ掛けずに採用できる
SNSをビジネス利用している人たちの多くは「採用」もしくは「営業」を目的に利用している。中でもLinkedInは実名、顔出し、かつ経歴が事細かに記載されているため、採用活動に利用しやすいことも特徴だ。経歴を見れば、書類選考で必要な情報は手に入るし、採用要件を満たす人材には直接アプローチできることが利点だと言える。

ビズリーチのようなダイレクトリクルーティングサービスもあるが、高額な費用がかかってしまう。それに比べて、LinkedInは有料のプレミアムプラン(Hiring)に加入すれば、個人アカウントでも十分採用活動を行うことができる。その費用は月額1万円程度で済む。多くの優秀な人材を、コストを掛けてでも定期的に採用したい場合は、費用はかさむが法人向けプランを利用することもできる。

ひろがるビジネスチャンス
③大手企業の担当者に直接営業できる
「採用」に活用できることはわかったが、同様に「営業」でも活用することが可能なのがLinkedInだ。採用同様、細かいプロフィールがわかり、かつ実名登録がほとんどなので、「担当部署」や「役職」を検索し、営業ターゲットに直接アプローチすることができる。

ただ、いきなり直接的な提案をしてしまうと「押し売り営業」となってしまうため、日頃からLinkedIn上で情報発信をすることでつながりを増やし、「自然なアカウント」として認知してもらってから徐々に商材を提案していく手法が主流となっている。

海外では、LinkedInで社員研修を行ったり、Wantedly(ウォンテッドリー)のように社内文化を発信する媒体として活用されていると聞く。日本ではまだまだその機能の一部分しか使われていないのが、実態のようだ。

筆者も10年近くログインすらしていなかったアカウントを今年2月より運用再開し、現在は「つながり」(Twitterのフォロワー、Facebookの友達みたいなもの)を1500人まで伸ばすことができた。

また、最近、転職希望者の集客、インドのエンジニア教育企業との事業提携の話を進めることもできている。今後もビジネスマンを中心に活用が進んでいるLinkedInを、しばらくは注視していきたいと思う。

もしビジネスSNSを運用しようと思っている人、Twitterに疲れたビジネスマン、SNSを活用して転職活動や営業活動をやりたい人は、LinkedInのアカウントを作って、一度利用してみてはどうだろうか。


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