2021/06/17 07:12



「この木なんの木 気になる木」(「日立の樹」)、「がんばらなくちゃー」(「ピンポンパン体操」)、「あなた変わりはないですか」(「北の宿から」)―。どれも耳になじみ、口ずさみたくなるメロディーばかり。小林亜星さん自身「覚えやすくて、長く人の記憶に残る。そのことを一番の目標に作っているんです」と語っていた。
 演歌から明るいアイドルソングまで手掛けた曲は幅広く、マーチ、ワルツ、ロックンロールなど多彩な曲調で自在に彩った。日本音楽著作権協会(JASRAC)の登録だけで1300を超える曲を発注に応えて作ってきたが、ストックしたメロディーの断片を組み合わせるような機械的な作曲法はよしとしなかった。
 「それは音楽じゃない。感動のないところに歌はないですものね。メロディーの全体像がぱっと浮かんで、心から湧いてきたものでないと」
 詞も大事にした。「詞が先にあって、それに曲を付けるのが本道。詞にはその人の気持ちが込められている。それを受け止めてメロディーにするのがわれわれの仕事です」。「北の宿から」や「ピンポンパン体操」などは、昭和の名作詞家、阿久悠さんとそのようにして生み出された。
 子ども時代の空襲体験から反戦に懸ける思いも強かった。ジャンル別のCD作品集4枚を同時発売した2年前の取材では「(戦争は)本当に悲惨。絶対駄目ですよ、戦争なんて」と振り返った。「平和な時代をみんなで楽しむ、慈しむ。歌はそうじゃなきゃいけないですね」と実感を込めて話していた。

情報ソース時事通信社


行動を後押しするブログ【hidedonblog】