2021/03/18 07:42



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ひでどん(@koamtu00713)です。

新型コロナウイルスの感染拡大が、苦境続きの百貨店の経営を大きく揺さぶっている。外出自粛や在宅勤務の普及などの影響で主力の衣料品販売は極度の不振に陥り、これまで二人三脚で成長してきたアパレルメーカーは百貨店からの撤退を急加速。とくに地方都市にある百貨店で大量退店が深刻だ。

「衣料品は以前から苦しかったが、コロナでとどめを刺された」。百貨店大手のJ.フロント リテイリング傘下にある高知大丸(高知市)の営業担当者は、業況の急激な悪化を嘆く。高知県唯一の百貨店である同店では2020年7~8月、婦人服と紳士服の合計31ブランドが一気に退店した。撤退分の売り場面積は計1200平方メートルで、同店全体の1割弱にも及ぶ。

退店したのは、オンワードホールディングスやレナウン(2020年5月に経営破綻)などアパレル大手が展開するブランドだ。従来は退店があれば別のアパレルブランドで埋めてきたが、「新規出店できるほどの余力を持つブランドがもはやない」(同社担当者)。リビング雑貨の売り場を拡充するなどして補うが、いまだ空きスペースを解消しきれていない。

フロアが丸ごと空いていた東館2階は2021年2月にようやく埋まった。誘致したのは、アパレルブランドの余剰在庫を買い取って70%割引などで販売するオフプライスストア。高級感が売りだった百貨店のイメージを傷つけかねないが、背に腹は代えられないというわけだ。しかも、その店舗も3カ月の期間限定で、その後の展開は未定という。

2020年における百貨店全体での衣料品販売は前年比で3割超減少した。百貨店向けのブランドを複数展開するオンワードや三陽商会などの総合アパレルメーカー大手4社は、2020年度に多額の赤字を計上する見込み。構造改革の一環として同年度内に合計1400店程度(ショッピングセンターなどの店舗含む)を閉鎖する。その多くは地方百貨店に入る店舗だ。

日本の百貨店では、売り上げたときに商品を仕入れ計上する「消化仕入れ(売り上げ仕入れ)」と呼ばれる独特の取引形態が主流だ。百貨店側は在庫リスクを負わず、多様な商品を店頭に並べられる。アパレルメーカーは在庫リスクを負いつつ店員の派遣など販売現場の主な業務を担うが、好立地の売り場を提供してもらえる。両者ではこのような「持ちつ持たれつ」の関係が続いてきた。

百貨店との付き合いで不採算の地方店にも出店していたアパレル大手にとって、コロナ禍は撤退の口実になった面もある。あるアパレルメーカー首脳は「『百貨店の中に店を残していただいてありがとう』というブランドなんてない。『退店させてくれてありがとう』という気持ちだ」と打ち明ける。

取引条件の変更を提案するなどして百貨店側は引き止めに躍起だが、そもそも消費者が服を買わない状況では焼け石に水だ。


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