2021/03/13 08:00



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ひでどん(@komatu00713)です。

日本は古来より「温故知新」教育が根強く、歴史は繰り返される的な、教育が成されてきました。漢文や古文を学ぶなどはいい例です。ですが、人間の脳のキャパは限られ、将来に不必要な知識は正直要りません。先見の明をもって教育を変化させていかなければ、オワコン化してしまいます。

<アメリカでは2011年にオバマ大統領が一般教書演説で優先課題に挙げるなど世界で注目されるSTEM教育。ベトナムやアフリカの新興国も力を入れる一方、日本は大きく出遅れています。ITなしでは成り立たない時代を生き抜くために必要な力とは?>

今、アメリカが国家戦略として推進しているのが「STEM(ステム)教育」です。Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Math(数学)の略で、これからの社会で最も成長が著しい分野として人材育成が急務となっています。

STEM教育最大の利点は、社会で必要とされる実用的な技能を、教科の枠を越えて学習できることです。従来の学校カリキュラムでは算数は算数だけ、理科は理科だけというように縦割りの教科領域しか学ぶことができませんでした。

しかしSTEM教育を取り入れることで、国語、算数、理科、社会、図画工作、コンピューターなどの教科で得た知識と技能を総動員して、問題解決力や課題を発見する力など、社会のニーズに密着した実用的な力を鍛えることができます。

集団の中でそれぞれの技能を活かす
STEM教育と聞くと「理数系の難しい学問」という印象を持つかもしれませんが、コンピューターサイエンスやエンジニアリングへの関心を高め、ITやハイテク関連の人材育成につなげることが目的です。

アメリカではSTEM教育は小学校からスタートします。多くの小学校がロボティックスやレゴリーグなど「グループ単位」でSTEM技術を競い合わせる楽しいアクティビティを取り入れています。子どもたちはデザイン、設計、制作、プログラミングなど、ロボット制作の工程を仲間と一緒に学習することができます。

グループ単位でSTEMに取り組む利点は、子どもたち一人ひとりの「強み」を活かせることです。絵が得意な生徒はデザイン担当、コンピューターが得意な生徒はプログラミング担当、手先が器用な生徒は組み立て担当、コミュニケーション力が高い生徒はチームのマネージメント役というように、子どもたちの特性を活かしながら、共通のゴールに向かって協力し合う経験を積むことができます。

さらに小学生からSTEM教育を導入することで、主体的に学ぶ力、問題解決能力、質問喚起力、創造力、コミュニケーション力など、実社会で使える技能を身につけることができます。

ロボット制作やプログラミングの過程では思い通りにいかない問題が多く生じます。それらをいかにチームの中で解決していくのか、問題点を発見して、解決方法を模索していくチームワークを学ぶことができます。

ロボティックスやプログラミングにように根気と精度を要する作業は多くの日本人が得意とする分野です。学校教育においてテクノロジーへの興味を引き出す仕組みを導入することができれば、STEM分野で突き抜ける人材育成へとつながることが期待できます。

日本のSTEM教育は世界で最低レベル
日本の学校教育でもプログラミング教育が必修化され、STEM教育をカリキュラムに導入する動きが進んでいます。しかし世界の潮流と比較すると、日本のSTEM教育は大きく出遅れていると言えます。

2012年にOECDが72カ国(または地域)の15歳の生徒に対して行った調査によると、日本はインターネットとコンピューターの学校内外での使用について、ほとんどの項目において世界平均を下回っていることが分かりました。

中でも「学校外でコンピューターを使って宿題をする」と答えた割合はデンマーク、オーストラリア、メキシコの生徒が90%以上だった一方で、日本の生徒はわずか9%で、調査国中で他を大きく引き離して最下位でした。

学校教育においてコンピューター使用(宿題や課題をコンピューターで行い提出すること)がほとんど要求されないことが要因ですが、家庭においても子どもがコンピューターを使う機会を増やし、ITリタラシーを高める努力が必要です。

コンピューター教育は小学校低学年からスタートすべきだと個人的には考えています。子ども専用のパソコン(中古で十分)を与えてタイピングや基本ソフトウェアの使い方を小学校時代に身につけさせることで「コンピューターは難しい!」という抵抗感を取り除くことができます。

またコンピューターを使って音楽を作ったり、動画を編集したり、アニメを作ったり、ゲームを作ったりという主体的、かつ、クリエイティブな使い方を経験させることでコンピューターサイエンスを身近に感じさせることができます。

なぜSTEM教育が必要なのか?
経済産業省は「新産業構造ビジョン」の中で、2030年までのさまざまな職業における構造の変化を予想しています。現在は昔からある仕事と新しい仕事が入れ替わる過渡期です。仕事が変わっていくのですから、それを支える教育も変わっていかなければなりません。

これからの社会でより重要となるスキルは、主体性を持って問題解決していく力や新しいシステムを創造していく力です。テクノロジーに使われる側からテクノロジーを使う側に回らなければ、変わりゆく社会の中で生き残っていくことはできません。

今までゲームをする側であった子どもが、STEM教育を通してゲームを作る経験をすることによって、作る側の思考を身につけることができます。人が作ったものを使って楽しむことにとどまらず、自分が人を楽しませるモノや社会に役立つモノを作るにはどうしたらいいのか?そのようなクリエイティブな視点はこれからの社会で活躍する人材には欠かせません。

また小学生からSTEM教育を導入することによって、子どもの科学分野への興味を喚起できると同時に、主体的に考え、行動する力を鍛えることができます。これまでの日本の学校教育は、先生の講義を聞く「受身」の授業形態がほとんどですが、STEM教育では生徒が「主体的」に授業に参加し、問題解決する態度が要求されます。

新型コロナウィルスによって人々の生活が一変しました。こんな時こそSTEM教育を導入するチャンスです。安全に学校で過ごすにはどんな工夫が必要か、衛生管理ができる発明をしてみよう、ソーシャルディスタンスを保ちつつコミュニケーションが取れる方法を考えてみようなど、生活に密着した問題について考えさせることで、主体的に問題解決していく力を育てることができます。

理系離れはジェンダーバイアスが原因?
日本人の理系離れがなかなか改善しないという話をよく聞きますが、これを解決するためにも小学校からのSTEM教育がカギを握ります。思考が柔軟な小学校時代にコンピュータースキルを身につけ、最新の科学技術の可能性に触れ、主体的な問題解決プロセスを経験することで「テクノロジーは面白い」「自分もモノ作りや研究に関わってみたい」という気持ちを高めることができます。

同時に日本社会に根強く残る「理系は男子」というジェンダーバイアスを排除し、女子のSTEMへの関心を高める努力が必要です。OECDが集計した「図表で見る教育(Education at a Glance)」によると、自然科学・技術・工学・数学分野を専攻する女子学生の割合が、日本はOECD加盟国の中で最下位でした。

科学やエンジニアリングに興味を持っている女子はたくさんいます。しかし「理系は男子」というバイアスが、学年が上がるにつれ、教師にも、親にも、子どもにも大きくなっていき、それが女子のSTEMへのモチベーションを下げる原因になっているのではないでしょうか。

これからの時代を生き抜く子どもを育てるには「男の子だから」「女の子だから」というジェンダーバイアスに「大人が」とらわれず、一人ひとりの子どもの個性・素質・強みをまっすぐに見つめ、それぞれに合った教育や環境を与えていくことが大切です。


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