2021/03/02 07:37



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ひでどん(@komatu00713)です。

このまま進むと、飢餓に満ちた世界が必ずくる



世界は今、環境破壊によるリスクがかつてないほど大きなものになっている。遠い未来のことだと思っている人もいるかもしれない。しかし、環境破壊が今どう起こっているのか、何に影響があるのかきちんと把握しておくべきだ。直接あなたに重大な影響を及ぼす未来だからだ。

中でも、最も避けられそうもないのが温暖化だ。このまま何の対策も講じなければ、今から2100年までに地球の平均気温は4度上昇する。これがどのくらい異常なことかというと、1880年から2012年までの世界の平均気温の上昇は、1度にも満たない。

4度上がると何が起こるか。気温が上昇すれば、海水の温度も当然上昇する。そうすると、ほぼすべてのサンゴ礁が白化、絶滅する。サンゴ礁には海洋生物種の3割以上が生息するといわれており、結果的に、数億人の人々の食料事情が深刻なものになる。

気温が上がると、生物は生息に適した環境を求めて移動するが、間に合わなかったり、移動が不可能だったりした場合、もちろん絶滅する。そして、生態系に空白地帯が生まれると小型生物が大型化する。ネズミがウサギくらいのサイズになってもおかしくない。

海水の温度が上がれば、北極の海氷や陸地にある氷河を溶かし、海面が上昇する。2030年頃には、海面が少なくとも15センチは上昇するとの試算もある。

これによって何が起こるか。たとえば、地中海の海面が20~50センチ上昇してしまうと、最悪のケースではエジプトのアレクサンドリアの堤防が決壊し、人類の遺産は崩壊する。東南アジアでは2030年頃までに75センチ上昇する可能性があり、そのままいくと2100年にはタイのバンコクの3分の2は水没する。

2100年と聞くと、ものすごい未来に見えるかもしれないが、医学の進歩で人は100年は生きるだろうから、現在の20歳以下が生きている世界だ。

ちなみに最悪の場合、2100年には日本は熱帯化している。夏の東京の昼間の気温は40度を超え、夜も30度をほとんど下回らない。米はとれなくなり、関東や近畿圏でバナナやパイナップルが栽培に適しているようになるだろう。

温暖化は食料不足も呼び起こす。ただでさえ世界的な人口増加があるのに、水の枯渇があり、作物の収穫量は減る。アフリカでは、トウモロコシやキビなどがとれる耕作地は半減する可能性もある。

こうなると、農作物の価格はもちろん上昇する。自給自足ができている国々でも、温暖化が進めば自給自足が難しくなり、飢餓が蔓延する。飢餓に苦しむ国々は食料を確保するため、隣国に攻め込むこともあるだろう。

突拍子もない話に聞こえるかもしれないが、日本があまりにも平和で現実感がないだけだ。このまま何も手を打たなければ、食料不足は確実にくる未来だ。飢餓が蔓延し、戦乱に陥るのはアフリカや南アジアでついこの間まで起きていた話である。

温暖化は、地球環境の悪化の大きな理由だ。温暖化による日本の自然災害はすでにはじまっている。

温暖化によって戦争が起こる



戦争は起こるのだろうか。資本主義先進国が繁栄したのは植民地からの収奪であることに異論はないだろう。先進国同士は植民地の資源をめぐって衝突した。戦争の理由は、基本的には資源と富の収奪だ。

温暖化により異常気象が続くと、危惧されるのは食料の奪い合いだ。人口が増え続ける未来では、将来の食料不足が懸念されるが、異常気象が食料難に拍車をかける。農作物がこれまでどおり育たなくなるからだ。地球温暖化で、生産に適した土地が年々限られるようになる。

とくに南半球はいまだに1次産業(農業、林業、鉱業、漁業)の比率が高いので死活問題になる。南半球で生産され、北半球で売られるものを「南北商品」といい、これらは彼らの生活を支えるが、温暖化によりすでに難しくなっているものもある。

南北商品の代表例はコーヒーだ。コーヒー生産の6割程度を占める「アラビカ種」の生産に適した土地が、温暖化により2050年に半減する危険性があるという。

2040年の気温は、産業革命前より2度以上上昇するのは避けられそうもない。そうなれば、干ばつや猛暑を含む異常気象が頻発するだろう。インドから中東の都市では、夏の外出が命がけになる。

アフリカでは2050年までに栄養失調児が1000万人増え、2100年までに降水量は40%低下する可能性がある。耕作地は最大90%、1人当たりの食料は15%減るとの予測もある。

気候リスクは枚挙にいとまがない。温暖化のみならず、すでにイナゴの大量発生など、かつては30年に1度といわれた出来事が毎年のように世界のどこかで起きていることからもわかるだろう。

こうした状況が改善されなければ、当然、食料の価格は上昇し、貧困はさらに蔓延する。

「水」が最も希少な資源になる



1995年に、世界銀行環境担当副総裁であったイスマイル・セラゲルディン氏が発した警告がある。それは「20世紀の戦争が石油をめぐって戦われたとすれば、21世紀の戦争は水をめぐって戦われるであろう」というものだ。食料不足もそうだが、その前に深刻な水不足も起きるだろう。水は石油よりも貴重になる。

すでにアフリカでは、気候変動による水不足に2億5000万人が直面している。2050年は、アジアでも水不足が起こる。10億人が水不足に陥り、世界中の都市部で利用できる水が今の3分の2まで落ちこむ。

水不足で戦争も起きかねない。かつて、エジプトとスーダン、エチオピアがナイル川の利権でもめたような事態が常態化する。

20世紀には石油の利権が戦争を引き起こしたが、21世紀は水をめぐる戦争が多発するはずだ。

アメリカの国家情報長官室がまとめた報告書がある。ここでは、将来水が不足し、それが原因で争いの種になることが言及されている。水の確保をめぐり、大河流域の国々で緊張が高まり、上流の国が水を独占したり、ダムなどを狙ったテロが起きたりする恐れがあるというのだ。

荒唐無稽に聞こえるかもしれないが、この報告書は、水不足をめぐって戦争が起こるリスクを分析するために国務省の指示で作成されている。それだけ、気候変動と水不足の引き起こす事態を憂慮しているのだ。

ちなみに、深刻な水不足に陥る地域はパキスタンやインド、中国だ。いずれも核保有国だ。アメリカが「世界の警察」を自負しているなら、にらみ合いになっても着地点を見いだせたかもしれないが、残念ながら自他共に認めていない今となっては、ワーストシナリオも想定しなければならないだろう。北半球の先進国は軒並み疲弊しており、自国の問題だけで手いっぱいなはずだ。

気候変動がもたらす不安や連鎖反応が最悪の展開になることは広く知られる。気温と暴力の関係を数値化する研究によると、平均気温が0.5℃上がるごとに、武力衝突の危険性は10~20%高くなるという。

もちろん、どこまで温暖化が進むかはわからない。今回、気温上昇のいくつかのシナリオを想定したが、現時点で、2040年に気温がいくら上がるか特定することは難しい。大気の成分の変化が、どの程度の気候変動につながるかは予測できない。また、これから20年、世界ではどのようなエネルギーがどういう状況で使われるか、林業や農業などが新興国でどの程度広がるかなど不確実性が高い。

とはいえ、どのような対策を打とうが、2040年の世界が、明らかに現在より肌感覚で暑くなっているのは間違いないだろう。

地球温暖化は、人口が増え、経済活動を続ける限り、回避は不可能だ。そして、戦争と違って、世界の誰かによって適切な方針が決められ、あっさり回避することもない。あなたのあらゆる経済活動や消費活動が温暖化の原因になっており、それが将来のもめ事のきっかけになりかねないことを私たちは自覚すべきかもしれない。


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